土星の美しい環は何でできている?
土星の環は一枚の円盤ではなく、氷を主成分とする無数の粒がそれぞれ土星を回る集まりです。土星は平均密度が水より小さい唯一の惑星で、北極には六角形を保つ巨大なジェット気流があります。

基本情報
- 直径
- 約12万500km(赤道)
- 太陽からの距離
- 約14億km(9.5AU)
- 公転周期
- 約29.4年
土星は、大きく広がる薄い環によってひと目で見分けられる惑星です。太陽から6番目、太陽系で2番目に大きく、赤道直径は約12万500 km。太陽から平均約14億km離れ、約29.4年をかけて一周します。
氷でできた環
環の主成分は水の氷の粒で、岩石も混じっています。粒の大きさは細かな塵から大きな塊までさまざまです。主要なC環、B環、A環の間には複数の隙間があり、A環とB環を隔てる幅約4,700 kmのカッシーニの間隙がよく知られています。その外側には細いF環と、広く淡いE環があります。

主要な環は20万km以上に広がる一方、多くの場所で厚さはわずか数十mほどです。砕けた氷の衛星や彗星の物質、あるいは古い物質が作り替えられたものを含むと考えられています。塵の量や環の質量から、形成は数億年前とする説も、はるかに古い起源をもつとする説もあり、年齢にはまだ決着がついていません。
環の上に立てるのか
立てません。環をつくる粒は、それぞれが土星を公転しており、粒と粒の間には空間があります。遠くから一枚の板のように見えるのは、密集した粒が太陽光を反射するためです。探査機は粒の少ない場所を横切ることはできても、「環の地面」へ着陸することはできません。
水よりも低い平均密度
土星は主に水素とヘリウムからなる、固い地表のない巨大ガス惑星です。平均密度は約0.687 g/cm³で、水より平均密度が低い唯一の惑星です。「巨大な海があれば土星は浮く」という例えは密度を説明するためのもので、実際に試せる話ではありません。雲の上部は約−178°C。11時間に満たない速い自転のため、赤道部分が膨らんでいます。

内部へ進むほど圧力は高まり、アンモニア氷の雲の下には液体水素、さらに金属のように電気を通す金属水素の層があると考えられています。その奥には岩石と氷に富む中心領域があります。ヘリウムの滴が内部へ沈む「ヘリウムの雨」は、土星が太陽から受け取る以上のエネルギーを放出している理由の一つかもしれません。
北極の六角形
1980年代初頭にVoyager探査機が発見し、その後Cassiniが長年観測したのが、北極を囲む巨大な六角形の模様です。差し渡しは約3万km。時速300kmを超える風が吹く高速のジェット気流で、異なる流れの相互作用によって形が保たれていると考えられていますが、詳しい仕組みは今も研究中です。

Cassini–Huygensが見届けた13年間
Cassiniは1997年10月15日に打ち上げられ、2004年7月1日に土星周回軌道へ入りました。搭載していたHuygensは2005年1月14日にTitanへ着陸し、地球から最も遠い天体での軟着陸を成し遂げました。

Cassiniは13年間にわたって約300周し、60万枚を超える画像を地球へ送りました。2017年の「グランドフィナーレ」では、土星本体と環の間を22回通過。生命が存在しうる衛星を地球由来の微生物で汚染しないよう、9月15日に土星大気へ突入して任務を終えました。
個性豊かな衛星たち
2026年8月時点で、土星には293個の衛星が確認されています。直径約5,150 kmのTitanには濃い大気とメタンの湖があります。Enceladusでは氷の下の海から物質が噴き出し、その噴出物がE環を補給しています。明暗がくっきり分かれたIapetusや、巨大なクレーターが目立つMimasなど、同じ惑星を回りながら姿も成り立ちも大きく異なる世界が集まっています。


