宇宙探査

金星:地球ほどの大きさ、想像を絶する高温

夜空で最も明るく見える惑星・金星は直径12,104kmで、地球とほぼ同じ大きさです。厚い二酸化炭素大気による暴走温室効果で表面温度は約465℃、気圧は地球の約92倍に達し、硫酸の雨が降ります。自転は遅く逆向きで、1日は1年より長く、ソ連のVenera着陸機が表面へ到達し、Magellanはレーダーで地表の98%を地図化しました。

Magellanのレーダーデータから作られた全球モザイク。雲の下に火山地形と断裂した地表が見えます
Magellanのレーダーデータから作られた全球モザイク。雲の下に火山地形と断裂した地表が見えます
画像クレジット: NASA/JPL · Public domain · 画像の出典を見る ↗

基本情報

直径
12,104km
距太阳
約1億800万km(0.72AU)
公转周期
224.7日

金星は、太陽と月に次いで夜空で最も明るく見える自然天体です。「明けの明星」「宵の明星」として親しまれ、直径は約1万2,104 kmと地球より5%ほど小さいだけです。しかし似ているのは大きさまで。厚い大気、硫酸の雲、灼熱の地表が広がる世界です。

なぜ水星より熱いのか

地表の平均温度は約465°Cで、鉛も溶けるほどです。分厚い二酸化炭素の大気が、地表から逃げる熱を閉じ込めるため、太陽により近い水星よりも高温になります。昼夜や緯度による温度差も水星ほど大きくありませんが、高地はやや低温です。初期の金星に液体の水があった可能性はあるものの、どの程度の期間存在し、なぜ失われたのかは研究が続いています。

二酸化炭素と硫酸の雲

大気の96.5%を二酸化炭素が占め、地表気圧は地球の約92倍。地球の海中約1kmに匹敵する圧力です。高度約50〜70kmにある硫酸の雲が、可視光の望遠鏡から地表を隠しています。上空では時速約360kmの風が吹き、大気全体が約4地球日で惑星を一周します。この「スーパーローテーション」が保たれる仕組みは、今も研究対象です。

ゆっくり逆向きに自転する

金星は公転方向と逆向きに自転するため、地表では太陽が西から昇ります。1回の自転には243地球日かかり、金星の1年より長いほどです。ただし太陽が昇って次に昇るまでの一日は約117地球日です。初期の衝突や、大気と太陽による潮汐作用が長期的に影響した可能性があります。

内部は地球の双子なのか

質量、密度、重力が地球に近いことから、半径約3,000 kmの鉄・ニッケル核、ケイ酸塩のマントル、薄い玄武岩質地殻をもつと考えられています。一方で、地球のような強い全球磁場も、地球型のプレートテクトニクスも確認されていません。内部の熱は、広範囲の火山活動が断続的に起こることで逃げている可能性があります。

NASAによる地球型惑星の内部比較。金星は左から2番目
NASAによる地球型惑星の内部比較。金星は左から2番目
加工元: NASA · Public domain · 画像の出典を見る ↗

着陸機は何分もつのか

ソビエト連邦のVenera計画は1961年に始まりました。Venera 7は1970年、別の惑星で初めて軟着陸して地表から信号を送信。Venera 9は1975年に地表写真を送りました。1982年3月1日に着陸したVenera 13は、極端な熱と圧力のなかで127分間作動し、カラー画像の撮影と土壌分析に成功しました。

1982年にVenera 13が撮影した金星地表のカラーパノラマ。板状の岩と着陸脚が見える。USSR/NASA
1982年にVenera 13が撮影した金星地表のカラーパノラマ。板状の岩と着陸脚が見える。USSR/NASA
画像クレジット: USSR/NASA · Public domain · 画像の出典を見る ↗

Magellanが雲の下を描き出した

Magellanは1989年5月にスペースシャトルAtlantisで打ち上げられ、1990年8月に金星周回軌道へ入りました。合成開口レーダーによって地表の98%を約100m級の解像度で地図化し、火山、断裂、溶岩流路、コロナと呼ばれる円形地形を明らかにしました。1994年10月、大気へ突入して任務を終えました。金星は地球に近い惑星でありながら未知が多く、新たな探査計画が進められています。

Magellanのレーダーデータによる全球モザイク。雲の下の火山地形と断裂地形が見える
Magellanのレーダーデータによる全球モザイク。雲の下の火山地形と断裂地形が見える
画像クレジット: NASA/JPL · Public domain · 画像の出典を見る ↗

参考資料