宇宙探査

イアペトゥス:二色の表面と赤道の尾根

土星の衛星イアペトゥスは、公転方向を向く半球が暗く、反対側が明るい極端な二色の表面を持ちます。外側の衛星Phoebeから来た暗い塵と、日射による氷の移動がこの差を増幅したと考えられています。赤道には高さ20kmに達する尾根が連なりますが、その成因はまだ決着していません。

Cassiniが撮影したイアペトゥス。暗い領域と明るい領域の境界が見えます
Cassiniが撮影したイアペトゥス。暗い領域と明るい領域の境界が見えます
画像クレジット: NASA/JPL/Space Science Institute · Source terms · 画像の出典を見る ↗

基本情報

英語名
Iapetus
直径
約1,469km
公転周期
約79日

イアペトゥス最大の特徴は、表面の明るさが場所によって大きく違うことです。公転方向の前側には広い暗色地域があり、ほかの地形はずっと明るく見えます。これは反射率の違いで、単なる昼と夜の境目ではありません。

公転位置で変わる明るさ

Cassiniが1671年に発見したとき、イアペトゥスは軌道上の位置によって見え方が大きく変わりました。Cassini探査機が近接撮影する何世紀も前から、天文学者は二つの半球の明るさが違うと考えていました。

塵と太陽光が差を広げる

まず外部から来た暗い塵が、公転方向の前側を暗くした可能性があります。暗い地面は太陽光を多く吸収して温まり、氷が昇華して、より寒い地域へ移動して再び付着します。元の場所には暗い物質がさらに残り、このフィードバックが当初の小さな差を増幅します。

長期観測によってイアペトゥスの塵、温度、表面氷の関係を明らかにしたCassiniミッションの想像図
長期観測によってイアペトゥスの塵、温度、表面氷の関係を明らかにしたCassiniミッションの想像図
画像クレジット: NASA/JPL · Public domain · 画像の出典を見る ↗

赤道の「縫い目」はどうできた?

赤道に沿って山脈が走り、全体をクルミのように見せています。太古に高速自転していた名残という説や、かつて存在した環の物質が落下したという説があります。地形が見えていることと、その成因が確定していることは別です。

イアペトゥスが教えてくれること

外から来た塵、太陽による加熱、移動する氷、太古の地形が一つの天体に共存しています。太陽から遠い場所でも、わずかなエネルギーが長い時間積み重なれば、世界の姿を変えられることを示します。

参考資料