宇宙探査

セラム:接触連星を巡る衛星

Selamは小惑星ディンキネシュを回る小衛星で、探査機Lucyの画像から、二つの小さな塊が接した「接触連星」だと分かりました。小天体が激しい衝突だけでなく、低速で接近して結合しうることを示す手がかりです。

Lucyの画像。大きい天体がディンキネシュ、右側の小さな二葉形天体がSelamです
Lucyの画像。大きい天体がディンキネシュ、右側の小さな二葉形天体がSelamです
画像クレジット: NASA/Goddard/SwRI/Johns Hopkins APL · Source terms · 画像の出典を見る ↗

基本情報

英語名
Selam
公転相手
ディンキネシュ
特徴
二つの塊が接した衛星

私たちの月が、接した二つのジャガイモのような形になり、数百mほどの小天体の周りを回っている――SelamとDinkineshの関係は、それに近い珍しいものです。SelamはDinkineshの自然衛星であると同時に、二つの天体が触れ合ったまま一体となって回転する接触連星です。

最初の画像では、なぜ二つに見えなかったのか

見る方向によっては、手前の部分が奥の部分を隠します。Lucy探査機がDinkinesh系の周囲を移動し、見る角度が変わって初めて、Selamの輪郭が二つに分かれていることが明確になりました。一方向から見た影だけでは、立体的な形を見誤ることがあります。

Lucyの視点が変化したことで、主星と衛星の形を見分けられた
Lucyの視点が変化したことで、主星と衛星の形を見分けられた
画像クレジット: NASA/Goddard/SwRI/Johns Hopkins APL/NOIRLab · Source terms · 画像の出典を見る ↗

二つの部分は、どう結びついたのか

一つの可能性は、Dinkineshから放出された物質が近くで集まり、できた二つの小天体が低速で衝突して接したというものです。ただし、なぜ似た大きさの二つができ、輪郭を保ったまま結合したのかは、まだモデルで検討されている段階です。画像は過去の出来事を絞り込む証拠にはなりますが、形成過程そのものを再生して見せてくれるわけではありません。

小さな衛星が、天体系の重さを教える

Selamの公転周期と軌道の大きさを測れば、重力の法則からDinkinesh系の質量を求められます。さらに形や体積と組み合わせることで、密度や内部の空隙の多さも推定できます。天体が小さくても、働く物理法則は惑星と衛星の系と同じです。

私たちの月との共通点は何か

成り立ちも大きさも環境も大きく異なりますが、どちらも主天体の周りを回る自然衛星です。「衛星」という言葉が表すのは形ではなく、ほかの天体を公転するという関係です。衛星は必ずしも丸くある必要はありません。

参考資料