フォボス:火星へ近づき続ける衛星
火星最大の衛星フォボスは、火星表面からわずか約6,000km上空を回るジャガイモ形の天体です。1世紀あたり約1.8mずつ火星へ近づいており、数千万年後には崩れて環になる可能性があります。

基本情報
- 平均直径
- 平均約22.2km(27×22×18km)
- 距火星中心
- 約9,376km
- 公转周期
- 7時間39分
火星から見るフォボスは西から昇り、4時間余りで東へ沈み、一日に二度現れます。火星の二衛星のうち大きく内側を回り、大きさは約27 × 22 × 18km。高速で空を横切るジャガイモ形の岩のように見えます。
捕獲小惑星か、衝突の破片か
Asaph Hallは1877年にフォボスを発見しました。暗い表面、約0.07の反射率、炭素質小惑星に似たスペクトルは、小惑星帯から捕獲されたという説を支えます。
別の説では、火星への巨大衝突で飛び出した破片が再集合して形成されました。ほぼ円形で赤道面に沿う軌道は、捕獲よりこちらのほうが説明しやすい特徴です。どちらの説も、すべての疑問を解決してはいません。
Stickneyと謎の溝
Stickneyクレーターは直径約9kmで、幅約22kmしかない衛星には巨大です。探索を励ましたHallの妻Angeline Stickneyにちなみ命名されました。

幅数百mの溝には、衝突や潮汐による亀裂、転がる破片の軌跡など複数の成因が考えられます。一部は、火星の潮汐力が衛星を徐々に壊す応力を示すかもしれません。
緩く集まったラブルパイル?
平均密度は約1.86g/cm³で、内部に相当な空隙があることを示唆します。一枚岩ではなく、衝突で生じたレゴリスの下に岩塊が緩く集まっている可能性があります。

表面重力は地球の約2,000分の1です。小さく跳んでも数分間浮く可能性があります。大気はなく、温度は日なたの約−4°Cから暗闇の約−112°Cまで変化します。
火星へ落下する?
火星中心から約9,376km、地表から約6,000kmの軌道を7時間39分で回ります。同期軌道より内側にあるため、潮汐作用で軌道エネルギーを失い、100年に約1.8mずつ高度を下げます。
約3,000万〜5,000万年後、砕けて一時的な環となり、一部の大きな破片が火星へ達する可能性があります。結果は内部強度に左右されます。環の形成は有力な予測ですが、唯一の可能性ではありません。
探査とMMX
Vikingは1970年代に接近画像を送りました。ソ連のPhobos 1・2は1988年に打ち上げられましたが、両方とも喪失し、Phobos 2は火星到着後に画像を送ってから通信を失いました。中国のYinghuo 1を載せたRussiaの2011年Phobos-Grunt試料帰還ミッションは、地球周回軌道を離れられませんでした。

JAXAのMMXは、H3ロケット10号機で2026年10月20日に打ち上げる予定です。フォボス近傍で観測し、少なくとも10gの試料を採取し、France・Germany共同のIDEFIXローバーを展開して、ダイモスもフライバイします。成功すれば2031年に試料が帰還し、火星衛星の起源解明へ大きく近づきます。


