冥王星:惑星でなくても驚きに満ちた世界
かつて第9惑星とされた冥王星は、2006年に準惑星へ分類されました。New Horizonsは2015年の接近観測で、ハート形の窒素氷平原、水氷の山々、そして氷の地殻下に海が存在する可能性を明らかにし、小さな世界にも活発な地質活動があることを示しました。

基本情報
- 直径
- 約2,377km
- 太陽からの距離
- 約59億km(30〜49AU)
- 公転周期
- 約248年
冥王星では真昼の太陽光も弱い一方、足元の窒素氷はゆっくり流動できます。直径約2,377km、太陽からの平均距離は約59億km、表面温度は約−229°Cです。かつての第9惑星は、現在最もよく知られた準惑星になりました。
惑星から準惑星へ
Clyde Tombaughは1930年、Lowell天文台で写真を比較して冥王星を発見しました。小さな質量と、大きく傾いた離心軌道はほかの惑星と異なっていました。より重いErisの発見で定義論争が加速し、IAUは2006年8月、惑星に「太陽を回る」「ほぼ丸い」「軌道周辺を一掃している」という条件を定めました。冥王星はカイパーベルト天体と領域を共有するため、準惑星へ分類されました。
New Horizonsの長い旅
2015年7月14日、New Horizonsは秒速約14kmで、冥王星上空約1万2,500kmを通過しました。2006年1月の打ち上げから9年半、約50億kmを旅し、数時間の接近観測へ臨みました。

望遠鏡でぼやけた点だった天体は、水氷の山、若い平原、層状の青い霞を持つ世界へ変わりました。全データの送信には1年以上かかりました。

Sputnik Planitia:冥王星のハート
ハート形のTombaugh Regio西部には、幅約1,000kmの窒素氷平原Sputnik Planitiaがあります。

クレーターが少ないため、表面は若いと分かります。幅数十kmの多角形セルは、固体窒素氷の遅い対流を示します。温かい氷が上昇し、冷たい物質が沈むことで、極低温でも活動が続きます。
岩石質中心と氷の殻
約1.86g/cm³という密度は、岩石と氷が混ざった世界を示します。モデルでは、直径約1,700kmのケイ酸塩核を厚い水氷が覆い、表面に薄い窒素・メタン霜があります。Sputnik Planitia地下の質量異常は、氷殻下の高密度物質を探る手掛かりです。
海は生き残れる?
Sputnik Planitiaの質量分布と、単純な収縮ではなく膨張を示す表面亀裂は、液体の水の海が説明できる可能性があります。地下海はまだ仮説ですが、存在すれば太陽系の端でも液体環境が長く残れることになります。
Charonと小衛星
Charonは直径約1,212kmで、冥王星のほぼ半分です。共通重心が冥王星の外側にあるため、連星系に近い関係です。Charonには巨大峡谷と比較的若い地形があります。Nix、Hydra、Kerberos、Styxはさらに小さな衛星です。

太陽と一日はどんなもの?
太陽はまぶしい点として見え、影もつくります。冥王星は地球と逆向きに、約6.4地球日で自転します。相互潮汐固定のため、冥王星に面したCharonは空のほぼ同じ位置にとどまります。希薄な大気、凍った揮発性物質、厳しい寒さには、冬服をはるかに超える装備が必要です。
特異な軌道
太陽から平均約39.5AU離れ、248年で一周します。1979〜1999年には海王星より太陽に近い位置にいました。New Horizonsは2019年にArrokothへ進み、天体への史上最遠フライバイを実現しました。人類が作った探査機の最遠記録は今もVoyager 1が持ちます。


